女性客から愛される!     ライフスタイルマーケティング。

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性生活者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けしています。

生活者の視点に立って、新たな市場を生み出そう。

みなさんこんにちは。和田康彦です。

今や、どの家庭にも一つはある透明収納ケースやHGチェスト。これらを開発して大ヒットさせたのが、日本を代表する日用品メーカー「アイリスオーヤマ」です。同社は生活の中に潜む様々な問題点・不満点を察知し、それに対する解決策を提案することで、潜在的な需要を喚起してきました。中身の見えるクリア収納、巻き取りやすく手が汚れないフルカバータイプのホースリール、室内のペットの臭いをクリーンに取り除く空気清浄機など生活者があきらめていた不満を解決し、新たな市場を創造する力がアイリスオーヤマの強みです。

10年前からは家電事業にも進出。家電市場は飽和状態ですが、サーキュレーター衣料乾燥除湿器やふとん乾燥機などのヒット商品を生み出しています。サーキュレーター衣類乾燥除湿機は、空気を循環させる送風機に除湿機を合体させた画期的な商品。除湿機で湿気を取り除いた空気を、強力な風で直接洗濯物に吹き付けることで室内でも衣類を一気に乾かせます。一方、干せない布団をフカフカにするのは「ふとん乾燥機カラリエ」。今まで、布団乾燥機といえば温風を入れるマットを広げるなど、準備が大変でしたが、この新型はマットをセットする必要がありません。温風が出るノズルの先端にある羽根を開き、布団をかけるだけで、テントのような空間ができ、布団全体に温風が広がります。どちらの商品も今までにないアイデアで梅雨時の主婦の悩みを解決しました。

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これらの商品は、毎週月曜日に行われている新商品開発会議から生み出されます。この会議では、大山会長以下役員と開発担当社が一堂に揃い、機能・デザイン・価格などあらゆる側面から、徹底的に生活者の視点で検討されます。大山会長は「家電製品はサプライヤー側の専制君主の時代から民主主義にシフトした」「今は、消費者が買った後のレビューが重要」と日経新聞のインタビューで答えています。つまり「民主化」とは、消費者の生活シーンから逆算した商品作りを意味しています。

例えば、「銘柄量り炊きIHジャー炊飯器」もその一つです。同社は2011年、東日本大震災で被災した米農家の支援に参入。美味しい米について研究をしている中で、「ごはんの味は銘柄別の水加減で決まる。」ことを発見。それをコントロールできる炊飯器があると便利、という発想から銘柄別の水加減で米をセットする時に面倒な、水の計量がいらない商品を開発しました。入れた米の重さを自動的に計測し、おいしく炊ける水の量を表示。水を注いでいくだけで、適量になるとブザーで知らせてくれます。さらにこの炊飯器には本体の下にクッキングヒーターがついていて、炊飯に使うヒーターを、別の用途にも使えるように分離。まさに生活者とってうれしいを形にした商品といえます。

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アイリスオーヤマでは、2002年より取引先への派遣するSAS(セールスエイドスタッフ:Sales Aid Staff)制度をスタート。現在では全国約800店舗で活躍しています。セルフ販売を主とするホームセンターでは、商品の機能を伝えるには限界があります。そこでSASがお客様に直接伝えるという役割を担い、「お部屋のペット臭が気になる」「すき間を活用できる収納用品を探している」といったお客様の不満・要望を聞き出して的確に商品を紹介しているのです。さらに、オリジナルのPOPを作成するなどして、せっかくの“売場”を“置き場”で終わらせない工夫も行っています。また、店頭でお客様と接するSASはまさに販売データの宝庫。お客様との対話の中からしか得られない情報がSASに蓄積され、商品開発部門にフィードバック。その情報が新たなソリューション商品のヒントとなっています。

2018年度のグループ売上は4750億円。成長を続けられる背景には、メーカー機能と問屋機能をあわせ持つ独自の「メーカーベンダー」という独自のビジネスモデルがあります。商品を小売店に届けるだけでなく、小売店の売場をコンサルティングしながら魅力的な売場作りや販売促進をサポート。生活者の声がダイレクトにフィードバックされるため、生活者ニーズに対応したオンリーワン商品のスピーディな開発をも可能にしているのです。さらに、多様化するニーズに応えるため素材にとらわれた「業種」発想から、さまざまな素材とあらゆる技術を組み合わせて卸売業の「業態」視点で商品開発をおこなうビジネススタイルも強みのひとつです。

日本の家電業界がかつてのような勢いがなくなる中、愚直に生活者の声に耳を傾け、顧客の生活シーンを丁寧に観察する。その中から今までなかった新たな商品を生み出し、新たな市場を開拓するアイリスオーヤマには、成熟時代の商品開発のヒントがたくさん詰まっています。