しあわせ共創マーケティング 和田康彦ブログ

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性生活者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けしています。

「あったらうれしい」を形にしよう。

みなさんこんにちは。和田康彦です。

 

日本経済新聞社は小売店のPOS(販売時点情報管理)データに基づき、加工食品や飲料など約2000あるカテゴリーごとに2018年に最も売れた商品を「日経POSセレクション売上No.1」に決定しました。

 

平成を通じて分類別売上№.1の商品を見ていくと、東洋水産「マルちゃん焼きそば3人前」、丸美屋食品工業「麻婆豆腐の素 中辛162g」、大塚製薬「オロナミンCドリンク120ml×10」、ハウス食品「フルーチェ イチゴ 200g」などお馴染みの定番商品がランクインしています。それぞれ今となっては確固たる定番の地位を築いてはいるものの、発売当時は先駆的な切り口で新たな市場を開拓した商品がほとんどです。

 

例えば、丸美屋食品工業の「麻婆豆腐の素」は、1971年の発売当時、日本人にはまだ馴染みのなかったマーボー豆腐をフライパンと豆腐で簡単に作れる商品として開発。家庭の主婦に知ってもらうために、団地をまわって試食会を開き、マーボー豆腐を家庭の味として定着させていったという歴史があります。

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また、76年発売のハウス食品の「フルーチェ イチゴ」は、牛乳と混ぜるだけで子どもでもつくれる手軽さと、それまでなかった食感で親子の心をつかみました。当時は、家庭で作るデザートはプリンにしろゼリーにしろ、加熱や冷やして固める手間が必要だったのですが、この商品の登場でレトルト食品市場の拡大に弾みがつきました。

 

いずれもロングセラーの要因としては、「本格的な味を手軽に美味しく食べたい」という生活者の根源的なニーズを満たしていること、つまりベネフィットが明確であることが考えられます。

 

次は、新発売ながら競合を抑えて年間1位の座についた商品を見ていきましょう。

リキュール類で1位に輝いたのは、サントリースピリッツが2018年2月に発売した「こだわり酒場のレモンサワーの素」。ソーダで割ることで好みの濃さでレモンサワーが楽しめるのが特徴です。居酒屋などでのレモンサワー人気や炭酸水を常備する家庭が多くなった点に目をつけて開発。同年12月にはレモンの味をより感じられるよう原料酒の配合を見直すなど商品に磨きをかけています。

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また、日清フーズが初めて片栗粉市場に参入した片栗粉風調味料「日清 水溶きいらずのとろみ上手」は、水に溶かさず、粉をふりかけるだけでとろみ付けできるのが特徴。「粉が舞って台所が汚れる」「とろみが足りないと、もう一度、水で溶くのが手間」などの不満を解消しつつ、片栗粉の特徴をうまく引き出せるよう原料に様々なでんぷんを組み合わせました。


テーブルマークの「カップに入ったプチカレー」は「幅広い世代から弁当でカレーを食べたいとの声が多かった」(同社)のが開発のきっかけになりました。弁当箱の中でこぼれない粘度とおいしさのバランスを保つため、試行錯誤を繰り返して完成。弁当に冷凍食品を使っていなかった人の開拓に成功しました。

 

これらの商品開発の背景を見ていくと、生活者のインサイトや不満を丁寧に観察し、「あったらうれしい」を形にしているということが共通しています。時代が変わることで生活者の価値観やニーズは常に変化しています。変化する生活者の気持ちを捉えて生活者が喜ぶベネフィットを提供することがヒット商品を生み出す肝といえます。