女性客から愛される!     ライフスタイルマーケティング。

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性生活者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けしています。

●時流は、「賢く、生活を楽しむ」 リーマンショックと東日本大震災が、きっかけになった4つのシコウ変化とライフスタイル変化

みなさんこんにちは。ライフスタイルマーケティングの和田康彦です。
私たち人間。あるいは生活者の考え方というものは、いろいろな環境に左右されています。社会環境や経済環境や天災のような自然環境、育ってきた家庭環境や毎日働いている職場環境もあります。そして、その考え方を作っているのが人間の意識や価値観です。意識や価値観も環境によって変化していきますので、生活者の意識や価値観がどんな風に変化しているのかを読み取っていくことが、今後のライフスタイルを予測していくうえで重要になります。ただ、人々の考え方や意識や価値観といったものは目に見える確かなものではありませんので、生活者の行動の変化や調査を通して仮説を立てる以外には方法はないと思います。しかも一人一人が微妙に違いますから、一つで表すことは無理な話になります。

◆生活者の意識や価値観の変化を読み取る方法
ではどうするかというと、これから生活者はどんなことを大切に生きていくだろうか、という共通項を見つけ出していく作業を積み重ねていくわけです。それは、生活者の行動を定期的にウォッチングしたり、人気の店やモノを時系列でウォッチングしたり、生活者から実際に話を聞いたりといった地道な活動の結果、見えてくるものです。毎日、生活者を見ていく、あるいは寄り添っていく訓練の中から生活者が何を目指しているのかが見えてくるのです。

さて、以前にご紹介した「世界一幸せなライフスタイル『Hygge(ヒュッゲ)』」http://www.happymk.net/entry/2018/08/07/162022のように、普段の生活を丁寧に心豊かに暮らすというライフスタイルトレンドは、日本人の中でも根付いてきています。では、ヒュッゲのようなライフスタイルが注目されている背景には、生活者のどんな意識や価値観、シコウの変化があるのでしょうか。今日は、2008年のリーマンショック(経済環境の大変化)や2011年の東日本大震災(自然環境の大変化)を契機に顕在化してきた4つのシコウの変化をみていきたいと思います。

私はリーマンショック当時、ベルメゾン生活スタイル研究所の中で、「私たちの生活日記」というクローズドの日記サイトを運営して、高感度な女性30名弱に毎日の出来事や買物記録をサイト上に記入してもらい、それをウオッチングするという生活者観察を行っていました。その中でみえてきたのは、以前から芽生えていた節約志向は、リーマンショックを契機に完全に生活に根付き、生活防衛志向はより強固になったということ。ただ、その一方で、「節約しながらも生活をいかに楽しむか」「生活を楽しもう」という考え方が当時から徐々に浸透してきているということでした。つまり、リーマンショックという大きな社会変化がライフスタイル全体の考え方に大きな影響を及ぼしているということが見えてきました。そして、その後の東日本大震災では、家族との絆や社会貢献といった「つながり」の大切さを実感し、その考え方が人びとの生活スタイルにも影響を及ぼしていったわけです。
◆リーマンショックと東日本大震災が、きっかけになった4つのシコウ変化とライフスタイル変化
では具体的にリーマンショックと東日本大震災がきっかけになった4つのシコウ変化とライフスタイル変化についてみていきましょう。

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①目先の損得よりも中長期的なお得を考えて生活する「ロングレンジ思考」
まず1番目の変化は、①目先の損得よりも中長期的なお得を考えて生活する「ロングレンジ思考」の広がりです。中長期的な視点でのコストパフォーマンスを重視する考え方で、LED電球やハイブリッド車、省エネ型の家電製品などはリーマンショック以降急速に普及しました。また長期的な健康や安心や安全を求めて、生産者の顔が見える「道の駅」や「産地の直売所」が脚光を浴びるようになったのもこのころからです。最近では質を重視した衣料品の国産志向や高額でもぐっすり眠れるという高機能寝具の人気もこの流れに乗っているといえます。

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②単に消費するだけでなく、自ら何かを生み出していくという「生産者志向」
2番目の変化としては、単に消費するだけでなく、自ら何かを生み出していくという「生産者志向」です。家庭菜園やベランダで野菜を手作りする、梅干しや漬物など保存食を作る。家具も自分で組み立ててしまう。ちょっとした修繕はDIYで直す。他にもポイントを増やす達人が生まれたり、モニターや懸賞公募に参加して報酬を得る人も増えてきました。さらにクラウドソーシングを利用して、収入を得る人も一般的になってきています。このところ急成長している「メルカリ」や「フリル」などのフリマアプリや「クリーマ」や「ミンネ」などのハンドメイド売買サイトがこれほどまでに成長している背景には、この生活者の生産者志向への高まりが背景にあるといえます。また、最近人気の「ふるさと納税」も税金を寄付して美味しいものをゲットできるという点では、生産者志向の気持ちを捉えているのではないでしょうか。「積立型NISA」なども投資して資産を増やすという意味では生産者志向の高まりが背景にあると思われます。

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③足し算の暮らし方から引き算の暮らし方へという「シンプル嗜好」
そして、3番目の変化は足し算の暮らし方から引き算の暮らし方へという「シンプル嗜好」です。部屋の中にはあまりものを置かずスッキリ暮らす暮らし方は今や主流。断捨離という言葉がブームになったように、不要なものはためこまない。また無料や低料金で借りられるものは利用してシェアするといった、持たない暮らしが浸透してきています。最近では、洋服を買わずに借りるというネット上の「借り放題」サービスにも注目が集まっています。また個人間の空き部屋を仲介するサービスやクラウド上で自分が預けたものを管理できるようなサービスも人気です。そして、このところ急成長しているニュースのキュレーションサイトは、まさに溢れた情報の中から不要なものは省き、興味ある情報だけを配信するという意味では、生活者のシンプル嗜好に合致して成長しているのではないでしょうか。

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④誰かの役に立ちたい、つながっていたい「つながり指向」
最後の「つながり指向」は、東日本大震災以降拡大・浸透してきた考え方です。フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどのSNSの広がりは 東日本大震災以降顕著な変化です。またLINEの登場によって、スタンプによる感情コミュニケーションが容易にできるようになり、家族や友人とのつながり醸成に大きな影響を与えています。また、社会貢献意識も震災を契機に高まってきたと思われます。世界初のクラウドファンディングサービス「レディーフォー」はまさにみんなで夢を実現したり、社会をよくしていこうというネット上のサービスです。

以上、リーマンショックと東日本大震災がきっかけになった4つのシコウ変化とライフスタイル変化についてみてきましたが、これらの4つのシコウの変化はこれからの人びとのライフスタイル変化を予測していくうえでも重要なキーワードになると思われます。

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