女性を笑顔にする!マーケティングのヒント。

消費の8割を女性が主導権を握っていると言われる今、女性客を笑顔にするためのヒントや女性マーケティングに役立つ情報をお届けしてまいります。

阪急うめだの「おいしい、かわいい沖縄展」から教わる、女性マーケティングのヒント。

私は神戸に住んでいますが、このところ知人のお見舞いのためほぼ週末は大阪に出かけています。その際必ず立ち寄るのが、大阪うめだの阪急百貨店です。昨日も「おいしい、かわいい沖縄展」というイベントタイトルに惹かれて9階の催し場を覗いてきました。夕方5時過ぎということもあり、会場は女性客を中心にごった返していました。私のお目当ては沖縄のオリオンビールで喉を潤すことだったのですが、南都酒蔵所という会社が作っているクラフトビール「OKINAWA SANGO BEER」のブースに引き込まれて、IPAとALTという2種類のビールを島らっきょうやゴーヤきくらげ、ラフテーといった地元の味と一緒に楽しんできました。

f:id:happymk:20170612181746j:image

 

◆女性客を惹きつけるためにはイベントタイトルにも工夫を。

「おいしい、かわいい沖縄展」は毎年この時期に開催されている、阪急うめだの名物イベントです。今年も6月7日(水)から13日(火)までの一週間、9階催し会場で開催。今年は、女性に人気のやちむんや琉球ガラスなどの工芸品、沖縄のクリエイターによる雑貨など、おいしいもの、かわいいものが勢ぞろいしています。参加51店中13店が初出店ということで沖縄好きはもちろん、好奇心旺盛な女性にとってたまらないイベントです。

f:id:happymk:20170612181833j:image

 

ところでこの「おいしい、かわいい沖縄展」というネーミング、素敵だと思いませんか。単なる沖縄展でなく、「おいしい、かわいい」というベネフィットがキャッチフレーズになっていることで、旨いもの好きやかわいいもの好きな女性の興味を惹き、集客に大きな効果を発揮しています。会場には、インスタ映えしそうな沖縄フードやスィーツも盛りだくさんで、女性たちは盛んにスマホで撮影していました。

 

◆不振の百貨店業界の中で、阪急うめだ店は、2016年度も増収、客数増。

東の伊勢丹、西の阪急。東西の百貨店の両雄をさしてこのように呼ばれてきましたが、このところ東の伊勢丹からはかつての勢いを感じません。そんな中、大阪梅田の阪急百貨店本店は、百貨店業界が衰退する中でも次々に新しい企画を打ち出し、女性客の潜在ニーズを捉えて健闘しています。女性を笑顔にするマーケティングのヒントをたくさん見つけることができるので、お近くのみなさんはぜひ足を運んで繁盛している売場やイベント会場を体感してほしいと思います。

 

さて、阪急百貨店を運営するエイチ・ツー・オーリテイリング社の2017年3月期の業績を見ると、百貨店事業の売上高は前期比99.2%の4276億4400万円。営業利益は同96.2%の159億9300万円で売上も利益も減少しています。一方で、阪急本店(メンズ大阪を含む)の売上高は、前期比101%の2205億1500万円、入店客数は同100.3%の4919万1000人と微増。2018年3月の売上も2273億8800億円を計画しており増収を見込んでいます。

 

全国百貨店売上の推移をみると、国内百貨店の売上高は1991年バブル期の9兆7130億円を頂点に一転して下り坂。昨年2016年度は36年ぶりに6兆円を割って5兆9780億円となり2年連続の減少、ピーク時の売上の約4割減と厳しい経営環境にあります。背景には少子高齢化による人口減少や成熟化によるモノ離れ等がありますが、一方で阪急うめだ本店のように環境変化を味方につけて健闘している店舗があるのも事実です。

 

◆阪急うめだ店のコンセプトは「劇場型百貨店」。

阪急うめだ本店はおよそ600億円をかけて改築・改装し2012年11月21日にグランドオープン。店舗面積14万平方メートル、売り場面積8万平方メートルと日本最大級の百貨店となりましたが、売場の2割を非物販スペースにするなど大胆なイノベーションを同時に断行しました。背後には「21世紀の小売業はどうあるべきか」「モノは十分に満たされている中、さらに買っていただくためにはどうればよいのか」という課題解決への挑戦があったのです。

 

成熟化の時代になり、生活者にとって必要なものは何でも手に入るようになりました。以前なら「軽いですよ」「丈夫ですよ」といった機能的な価値を訴求すればモノが売れましたが、今やモノの機能だけを訴求しても興味を示してくれません。また「安くていいモノ」は今や当たり前。ブランド信仰も年々影を落としています。

 

そんな中、阪急うめだ店のグランドオープンのコンセプトは「劇場型百貨店」。顧客を非日常空間に連れ出し、買物を楽しんでもらう劇場のような空間を目指しました。それを象徴するのが9階の「祝祭広場」です。フロア中央に3フロアぶち抜きの空間が広がり、観覧席を兼ねた階段が連なっています。ここでは連日、阪急独自のイベントが繰り広げられ、毎週訪れても新しい発見や感動があります。「顧客が少しでも店内に滞留し、店内で得た新たな情報を得て新しいコトを発見し、そのニーズに応えることが百貨店の役割」。つまり「機能」といったモノの価値ではなく、目には見えない感動や感激、発見や使用価値といった「文化的価値」を提供していくことを主眼に置いた一大イノベーションだったのです。

 

◆コトを体験させてモノを買ってもらう時代へ。

冒頭でも書きましたが、「おいしい、かわいい沖縄展」というキャッチフレーズに惹かれた私は、家内と共にイベント会場へ。当初はオリオンビールを目当てにしていたものの、会場で出会った地元のクラフトビールに惹かれてイートインスペースへ。沖縄の伝統料理とともに美味しいクラフトビールを初体験。これらの一連の消費行動は、沖縄を疑似体験したい!というコトへの興味からビールや沖縄伝統料理を購入する、といったモノ消費へつながっていることがよくわかります。私自身も阪急さんの戦略に気持ちよく乗っている良きお客様なのです。

 

阪急百貨店では、「百貨店の原点はいかに人を感動、感激させられるか。そしてサプライズを提供できるかに尽きる」と考えています。そのための「モノ消費からコト消費」へのシフト。コトを体験させてモノを買ってもらうというイノベーションが百貨店業界が低迷する中でも、多くの女性客を惹きつけています。沖縄展の他にも私は阪急うめだの様々なイベントを目当てに訪れますが、毎回新しい発見があり、お客様を喜ばそうとという姿勢にいつも阪急の「本気度」を感じます。阪急の商人魂こそが、不振の百貨店業界をリードしている原点なのです。