女性客から愛される!ライフバリューマーケティング。

今や消費の8割以上の決定権を握ると言われる「女性生活者」から選ばれ、愛され続けるためのマーケティングのヒントをお届けしています。

「素材博覧会」に見る「誰でもクリエイターになれる時代」

みなさんこんにちは。ライフバリューマーケティングの和田康彦です。

6月10日の日曜日、神戸市のデザインクリエイティブセンターKIITOで開催されていた「素材博覧会~ハンドメイドを楽しむ~」を訪れました。

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糸・布・革・ガラス・石・樹脂・メタル・陶・木・紙などめずらしい素材やツールのブースが神戸KIITOにずらり揃うイベントで、作家・工房が手づくりしたオリジナル素材、ヴィンテージや海外からの掘り出しもの素材、小ロットでオーダーできる素材の制作サービス、メーカーによる新しい素材・制作ツールなどがあり、一般からプロの人までだれでも購入できるというもの。

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会場には100を超えるブースが並び、あちこちで「草を染める体験」や「革ものづくり体験」「繭のいろいろと絹糸作り」などのワークショップが開かれ、たくさんの女性で賑わっていました。

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会場には素材だけでなく、神戸の人気店のお菓子やパン、料理研究家のその日だけのメニューやドリンクなどを販売するフード&カフェブースも充実していて、さながらマルシェに来ているような気分を味わうことができました。

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◆素材ブームの背景には、ハンドメイドアプリの急成長が。
この素材ブームを後押ししているのは、スマートフォンで自分の作品を簡単に出品・販売することができる「minne(ミンネ)」や「Creema(クリーマ)」といったハンドメイド販売アプリの急成長です。

GMOインターネットグループのGMOペパボ株式会社が運営するハンドメイドマーケット「minne(ミンネ)byGMOペパボ(以下、minne)」は、2017年12月22日(金)に、2017年の年間流通総額が100億円を突破。この金額は大規模なプロモーションを開始する以前の2014年に比べると約10倍になります。また、作家数は42万人、作品数760万点、に達しています(2018年4月末時点)。

オンラインでの販売のみならず、2日間で5万2,000人の動員数を記録した大型販売イベント「minneのハンドメイドマーケット2017」をはじめとする、作家による対面販売イベントやワークショップなどを全国各地で開催。また、作家向けの勉強会を開催したり相談を受け付けたりする場として開設したハンドメイドスペース「minneのアトリエ(世田谷・神戸・福岡)」を通じて、ハンドメイド作家という新しい働き方をサポートする取り組みも行っています。この結果、年間販売額100万円以上の作家の数は2017年には1673人と3年前に比べて10倍超に増加。最近ではものづくりのスキルをシェアし、新しい働き方を可能にする「シェアリングエコノミーサービス」としても注目されています。

◆ユーザー目線に立ったサービスの進化こそが、minneの成長を支える。 
私は以前、株式会社千趣会が運営するベルメゾン生活スタイル研究所に所属しており、毎年年末には次年度の生活者予報として「しあわせ予報」を発刊しておりました。2013年12月に発行した「しあわせ予報2014」のテーマは「スマホで変わる、私たちの生活」。スマートフォンとこれからの女性のしあわせについて考察しました。

その中で、女性の暮らしを楽しく豊かにするアプリやサイトを運営される多くの方にインタビューさせていただきました。今回のブログで取り上げたminneもその一つ。他には、今日(2018年6月19日)東証マザーズに上場した「メルカリ」や、日本初のクラウドファンディングサービス「Readyfor」、ニュースアプリの「Smart news」などありますが、4年経った今では日本を代表するベンチャー企業として大きく成長しています。

ところで、minneの生みの親、阿部雅幸さん(現在はGMOペパボ株式会社 minne事業部 部長)は、開発前から手作り作品を売るイベントによく足を運んでいたといいます。当時のインタビューでは「作家さんの名刺やカードをもらうこともあるんですが、販売ルートをネット上に持っていないことが多いんです。ハンドメイド限定のネットショップを作ればそういった作家さんの作品ももっと手に取ってもらえると思いました」と開発のきっかけを話しています。まさにユーザーとしての感覚から生まれたサービスだからこそ、ここまで多くのハンドメイドファンに支持されるサイトになったのだと思います。

「だれでもがクリエイターになれる時代だ」という思いからスタートしたminne。「作品を見て刺激されて、私にも売れるかなと思ってもらえれば」そんな阿部氏のハンドメイド作家を応援する姿勢が、ここまでハンドメイド市場を盛り上げてきた背景にあることは間違いありません。

ちなみに「minne(ミンネ)」は、サービスがスタートした地である福岡の方言「○○してみない?」という意味からきています。「売ってみんね?」「見てみんね?」など、作り手、買い手問わずに思いを表現できる言葉であることからネーミング。この名前にも、阿部氏のハンドメイド作家とハンドメイドファンに対するあたたかな眼差しを感じます。

ハンドメイドアプリやフリマアプリなど、これまでの消費スタイルを激変させた新興企業の新たなサービス。その成功の裏には、常にユーザー目線に立った使いやすさの進化に命を懸ける姿勢が感じ取れます。

阪神百貨店梅田本店建て替えオープンにみる、これからの流通業のあり方

みなさんこんにちは。ライフバリューマーケティングの和田康彦です。

6月1日に、大阪梅田の阪神百貨店が進めていた建て替え工事の第一期棟が完成し待望のオープンとなりました。私は、6月3日の日曜日、新しくなった阪神百貨店梅田本店を訪れました。

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◆バブル崩壊以降衰退する百貨店業界
1957年に誕生した阪神百貨店梅田本店は人間でいえば61歳。高度経済成長期に生まれた百貨店は、モノを買う場としての役割はもちろん、まだまだ娯楽の少なかった消費者にとって一日を楽しく過ごせるレジャー施設としての役割も担っていました。屋上にはメリーゴーランドや観覧車などの遊具を備えたミニ遊園地があり休日には家族連れで大勢の人が押し寄せました。そして、屋上で遊んだ後は、最上階にある大食堂で家族各々が好きなものを注文する。私も小さいころ、年に数回電車やバスで1時間余りかけて行った百貨店で食べたお子様ランチの上にのった国旗やプリン、おもちゃのことが今でもうれしかった思い出として残っています。亡くなった父は決まってカキフライと日本酒を注文するのが定番でした。そして母はといえばとんかつが大好物だったようです。そして食事をした後は館内をウインドウショッピングしながらぶらり散策することが、当時の憧れのライフスタイルだったといえます。その後、百貨店業界は半歩先行くライフスタイル提案やファッショントレンドを発信する生活提案企業として私たちの生活を豊かにすることに大きく貢献してくれました。百貨店業界は1980年代後半のバブル時代は売上高が急増し、最盛期(1990年)には12兆円の市場規模まで拡大。ところが近年は5兆円台と約半分にまで落ち込んでいます。百貨店の売上が減少してきた理由は、バブル崩壊による景気の悪化や、少子高齢化による内需減少、などの日本のマクロ経済要因が根底にあります。加えて近年では、イオンモールなどの大型ショッピングセンターが増えている事やアウトレット業態の増加、ユニクロやZARAなどファストファッションの拡大、アマゾン・楽天などのネットショッピングが浸透してきた影響など、百貨店を取り巻く環境がここ20年くらいの間に大きく変化してきたことも大きな要因です。加えて、タンスやクローゼットの中には着なくなった服がびっしり。必要なものはほとんどが手に入り、欲しいものがなくなったという消費者心理の変化も見逃せません。

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経済産業省「商業動態統計調査」より 

◆阪神百貨店梅田本店リニューアルコンセプトは「毎日が幸せになる百貨店」
そんな中、阪神百貨店梅田本店が建て替え第一期棟オープンに際して打ち出したコンセプトは「毎日が幸せになる百貨店」です。これまで以上に品揃えの充実をはかることはもちろん、ただ商品を提供するだけでなく、さまざまなイベントを通じて、ライフスタイルの提案を行うことで、都心の一等地にふさわしい存在感と競争力のある商業施設を目指す。ということが主旨のようです。グループ会社の阪急百貨店がハイグレードなファッションを中心とした非日常の幸せを提案することで多くの支持を集めている中、創業時から食の阪神として愛されてきた阪神百貨店が改めて目指すのは、日常の幸せを提供するという原点回帰といえます。

◆SENSE OF ESSENS 自分を磨いて、充実させるために
これまでの阪神の庶民的なイメージを覆すようなおしゃれでセンスの良いタブロイドチラシには、以下のような宣誓文が掲載されています。
「~SENSE OF ESSENS 自分を磨いて、充実させるために~ 阪神百貨店が、梅田の地に本格的デパートメントストアとして誕生したのは1957年。高度経済成長期がはじまったばかりの頃で、百貨店はモノを売ればよかった時代が続いてきたのかもしれません。それから60年余。6月1日にオープンする阪神百貨店建て替え第一期棟は、開業当初とはまた違った、今の時代にあったスタイルが必要だと考えます。

暮らしのなかで、自分を磨いたり、高めたり、充実させることができるように。そのためには、ものごとの本質や真髄をしっかり見すえたり、感じたりできたらいいですね。「SENSE OF ESSENS」とは、そんな、チカラや感覚のこと。新しい阪神百貨店では、ただ商品を提供するだけでなく、訪れてくれた人が“自分充足”できるような百貨店を目指します。」

チラシのセンスといい、コピーの内容といい、とても素敵だと思いました。そうそう、ただ商品を提供するだけでなく、百貨店がお客さまひとりひとりの”自分充足”できる場になっていくことこそ、今の生活者の誰もが求めていることじゃないでしょうか。

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◆「自己実現」のお手伝いをすることがこれからの流通業が目指すべき方向
ご存知の方も多いと思いますが、アメリカの心理学者マズローは欲求の五段階説を唱えました。人間の欲求は5段階のピラミッドのように構成されていて、低階層の欲求が満たされると、より高次の階層の欲求を欲するとされるという考え方です。生きていくための基本的・本能的な欲求(食べたい、飲みたい、寝たいなど)という「生理的欲求」が最もベースにあり、その上には、危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたいという「安全の欲求」。さらに、集団に属したい、仲間が欲しいという「社会的欲求」。他者から認められたい、尊敬されたいという「尊厳の欲求」が続き、最も上層部には、自分の能力を引き出し創造的活動がしたいという「自己実現の欲求」が位置付けられています。現代は、生理的欲求や安全欲求は満たされ、社会的欲求や尊厳欲求、自己実現欲求を満たしたいと考える生活者が増えてきている時代です。社会的欲求を満たすために地域や趣味のコミュニティに属する。尊厳の欲求を満たすために、SNSでたくさんの「いいね!」を獲得できるように投稿内容を工夫する。自己実現欲求を満たすために、手作りなどの作品をネット上の販売サイトに登録して自分の能力やスキルを世の中に認めてもらう。このように社会が成熟するにつれ、自分の能力を引き出し創造的な活動したいという自己実現欲求はますます高まってくることは確実で、流通業が生き残っていくためにも、お客さまひとりひとりの自己実現のお手伝いをしていくことがますます重要になってくると思われます。そんな意味で、今回阪神百貨店梅田本店が打ち出した「SENSE OF ESSENS 自分を磨いて、充実させるために」というキーワードはこれから10年20年先にも通用する普遍的なコンセプトだと思えるのです。

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◆食関連売上を50%に
阪神百貨店は創業時から「食の阪神」と言われ、お客さまから親しまれてきた長い歴史があります。その結果、百貨店業界全体では全売り上げに対する食関連売上は約28%前後と言われている中、阪神の食関連売上比率は約45%と突出しています。今回のリニューアルでは、その食の強さにさらに磨きをかけて売上比率を50%まで上げていこうという大きな目標を掲げているようです。

◆高級ハンバーガーVS立ち食いスナックパーク。多様化する食ニーズに応える売り場づくり
今回の建て替え第一期棟オープンの目玉はやはり「食関連売場の充実」です。その一つが、ニューヨーク発の良質ハンバーガーレストラン「シェイクシャック」の関西初出店です。御堂筋に面した1階のサウステラスには、ガラス張りでオープンカフェも楽しめるおしゃれな空間が出現。新しもの好きな関西人にとっては一体何ができたんだろう?と興味津々でお店を覗き込んでいる光景が印象的でした。このレストラン、3年前に東京外苑前にオープン。こだわりの食材を供給することが難しく、3年かけてようやく準備が整い関西初出店にこぎつけたという鳴り物入りのハンバーガーレストランです。ニューヨークの高級老舗レストランが、地元の公園を活性化させようと、カートから始めたホットドックやハンバーガーが売りで、食材にはホルモン剤を使わない貴重なアンザス牛を使っているとのこと。ハンバーガーで710円(税抜)、ホットドッグで610円(税抜)という価格はちょっとした贅沢を味わうには手頃な価格といえそうです。また、ハンバーガーに合うビールまでわざわざ醸造所と協同開発するというこだわりにも共感できます。

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さて、食の阪神といえば「いか焼き」で慣れ親しまれてきた立ち食いの聖地、「スナックパーク」です。その伝説のスナックパークが今回のリニューアルで3年ぶりにオープン。初日から多くのファンが押し寄せて賑わっています。「阪神名物 いか焼き」をはじめ、カドヤ食堂の中華そば、お好み焼き、焼きそばの「道頓堀赤鬼」、立ち食い寿司「魚がし日本一」、海老天丼「天ぷらの山」などの関西の名店が軒を連ね、昼時には500円前後でおなか一杯になるランチを目掛けて近隣のサラリーマンや買い物ついでの主婦で連日大繁盛のようです。また夜は午後10時まで開店、仕事帰りのサラリーマンや働く女性がちょっと一杯楽しめるごきげんな酒場として喜ばれています。

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従来の阪神百貨店のイメージはどちらかといえば「庶民的」なイメージが強かったものの、今回のリニューアルではその良さを残しつつ、シェイクシャックのような良質な食を提供することで多様化する食ニーズを満たそういう考え方が読み取れます。昨今はひとりの生活者のなかにも、例えば節約とプチ贅沢といった2極化するニーズを持ち合わせる人が多くなっています。そんな複雑化するニーズに応えていくことでファンのすそ野を広げていくことは、阪神のみならず多くの流通業で今後重要なテーマになっていくでしょう。

◆おいしいパンとワインで毎日の幸せを応援する
ハンバーガーレストラン「シェイクシャック」と隣接する1階売り場には、パンとワインが集結する「デパイチ」と呼ばれる食品売り場が誕生。これまでは食品売場といえば「デパ地下」が常道でしたがその常識を覆して1階にも食品売り場を設けたのは、さすが食の阪神!と言わざるをえません。パンマルシェと呼ぶ売り場では、週替わりで約7ブランドが登場するパンイベントや毎日約15ブランドの食パンが登場する食パンのセレクトショップが登場。このところの高級食パンブームを背景に、話題になっているおいしいパンを食べてみたいという女性心を刺激します。またワイン売り場もさらに拡大。約400種類のワインの試飲が楽しめるというから驚きです。
おいしいパンやワインには幸せな気分にさせてくれる魔法が隠されているように思います。そんな魔法でこれから多くのお客さまを幸せにしていきたい。そんな阪神百貨店の考え方には大いに賛成です。

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◆ワークショップやイベントで素敵なライフスタイルを提案
食以外にも今回のリニューアルでは新たな挑戦が随所でみられます。特に「いいな!」と思うのがワークショップやイベントの開催を通しての「コト消費」への対応です。ヨガ教室あり料理の実演あり、トークショーありと売場の随所で楽しくてためになるイベントが目白押しです。毎日どこかで面白いイベントが開かれている。そんなイメージが根付いていくことでお客さまは自然に阪神百貨店に足が向いていくのではないでしょうか。

◆愉しい、面白い、役に立つ
私はこれからの流通業が目指すべきキーワードは「愉しい、面白い、役に立つ」に凝縮されるのではないかと考えています。何も買いたいものがなくても訪れるだけで気持ちが愉快になり、面白いものや情報に出会える。そしてそこで過ごした時間がまさに自分を磨いて充実させるために役に立つ。そんなお店が増えてくれば、アマゾンをはじめとしたネット販売勢力にも十分立ち向かうことができ、共生していけるのではないでしょか。モノを販売することばかり考えるのでなく、お客さまを楽しませてお役に立つという「おもてなしする精神」こそがこれからの流通業の生き残りのキーワードです。

高価格帯トイレットペーパーが人気の背景

みなさんこんにちは。ライフバリューマーケティングの和田康彦です。

今日の日本経済新聞を見ていると、高価格帯のトイレットペーパーの売れ行きが好調だという記事が掲載されていました。

 

従来品より1ロールの巻きを長くしたり、パルプの比率を高めて柔らかくしたりした商品が相次ぎ発売されていて、輸入品の攻勢にさらされるティッシュペーパーと対照的に、高付加価値品がけん引役となって販売量、金額ともに伸びている。という内容でした。

 

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経済産業省によると、2017年のトイレ紙の販売量は13年に比べ3%増、販売金額は13%増.1キロ当たりの単価は164.2円と10%上昇しており、節約志向が広がる中でも高単価品の売れ行きは好調だということです。

 

理由の一つとして、「トイレ紙は一度気に入れば他のブランドに移らない傾向にある」ようです。直接体に触れるだけに、自分の好みに合えば高くても買い続け、顧客は固定化されやすく傾向にあるとのこと。

 

また、ふたつ目の理由として、増え続ける訪日外国人の存在があるようです。日本製はやわらかく品質への評価が高く、1ロールあたりの巻きが長ければ取り換えの頻度も少なくすむ。利用者と従業員の双方に利点となるため、高級ホテルなどで付加価値の高いトイレ紙の活用が広がっているとのことです。

 

メーカーも販売拡大に力を入れ始めており、大王製紙は長尺型の「エリエール イーナ」の17年度の販売量が前年度に比べ19%増。また、日本製紙クレシア(もダブルでは業界で最も長い1ロール75メートルの「スコッティ フラワーパック 3倍長持ち 4ロール(ダブル)」を展開。日経POS情報によると4月の1千人当たりの販売金額は前年同月比48%増、と好調に売上を伸ばしています。

 

300円前後で売られる汎用品と異なり、高付加価値品は特売の対象となりにくく利益率も高いということで、メーカーにとっても顧客にとってもうれしい商品です。

 

「目先の安さだけでは決して判断しない。長い目で見て得する方を選ぶ」というロングレンジ思考の消費が、リーマンショック以降根付いてきています。肌触りがよく体に優しいものを使う方が結果として健康にもよい。2回取り換える手間を一度にすれば人件費も安くつく。そんな長い目で見たベネフィットを買う消費スタイルは、今後も増えていきます。

 

 

「食べる」ことへの関心が高まっている。

みなさんこんにちは。ライフバリューマーケティングの和田康彦です。

 

内閣府が毎年実施している国民生活に関する世論調査」では、「今後の生活の力点」について質問をしています。

 

平成29年6月に実施した調査結果によると、今後の生活で力点をおきたい1位は「レジャー・余暇生活」で35.0%、2位が「資産・貯蓄」の30.3%、そして3位が「食生活」の29.6%という結果になっています。

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ちなみに「衣生活」は6.3%で8項目中最下位。衣料品マーケットが年々縮小しているのも、生活者の関心の低下が最も大きな要因と考えられそうです。

 

注目は「食生活」です。3位とは言え、1990年前半のバブル崩壊以降年々上昇しており、昨今のグルメブームやインスタ映えするスイーツブーム、肉バルなど野外イベント人気の背景を物語っています。

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店内にカフェやレストランを併設したライフスタイルショップの増加も、関心の薄くなってきている衣料品売り場へ少しでも足を伸ばして欲しいと考えるアパレル業界の苦肉の策といえるかもしれません。

 

とはいえ、生活者の関心の高い分野をいかに自分の業界の成長に組み込むかは、とても重要な戦略になってくると思います。

 

レジャーや余暇業界は、食とのコラボレーションで新たな提供価値を考えてみる。住業界も食と絡めて何か新しいコトが提案できないか考えてみる。もちろん低迷を続けるファッション業界も食の力を借りて、新しい取り組みはまだまだできそうです。

 

このところ人気の「出張シェフサービス」なんかも、「小さな子供がいたりと外食しにくい家族が自宅でレストラン気分を味わいたい」という理由から頼むケースが増えているようです。まさに「食生活」×「住生活」の組合せから生まれたサービスといってもよいのではないでしょうか。

 

今後の生活に力点をおきたいこと=今後お金をかけてもいいことと理解すれば、これからの時流も自ずと読めてくるのではないでしょうか。

現代の若者は「心が喜ぶ」ことにお金を使っている。

みなさんこんにちは、 ライフバリューマーケティングの和田康彦です。

 

私は、この4月から京都精華大学の非常勤講師として「 ライフスタイル論」を担当しています。私が教えるというよりも、 むしろ学生から学ぶことが多く、 いつも新しい発見にワクワクさせてもらっています。

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先日の授業では、「ふだんの消費のなかで、 あなたがこだわっていることを教えてください。」 という質問を投げかけてみました。回答してくれたのは、出席者の 38人。それぞれ短い文章でしたが、 現代の若者の消費の本質を発見することができました。

 

その中からいくつかのコメントをご紹介しましょう。

「好きな舞台や俳優さんなど趣味に対するお金は惜しまない。 手持ちがなく、 すぐに払わないといけない時は家族にお金を借りてでもどうにかす る。(女性)」

「迷ったら一旦離れる。(物理的に)主に服、 離れても忘れられなかったら戻って買う。心にぐっとくるものしか 買いたくない。(女性)」

「お金はかかっても、 できるだけ長く使っていけるものを選んで買う。(女性)」

「食べ物の中で「カフェオレ」が好きで、毎日食べています。 日本に来た時からずっと飲みました。あまくておいしいです。飲み ながら作業すると、もっと集中できる感じがしていいです。( 女性)」

「新聞、劇団四季などの舞台劇場、駄菓子、マクドのポテト。 四条駅のマクドの店全体がおしゃれだったのでついついおちつきの 場所として来てしまう。(女性)」

「僕はいつもスーパーに行く時、1.5リットルの水ボトルを1~ 2個買っています。僕が水を買う理由は、 一日やる気を出すためには僕としては水が必要だと思っているから です。(男性)」

「自分の好きなマンガや自分の絵を描く趣味に使う道具を買うこと にはお金を惜しみません。(女性)」

「漫画を買うときはためらわない。他のものを買うときはお金がな くなるから今日もやめとこうとか思いますが、本を買うときは新し い本が出るとすぐに買ってしまいます。(女性)」

「 私が普段お金を使うことにこだわっているのは安さと品質です。 また自分の趣味にはある程度お金を使ってしまいます。 何故かというと、 少しでも安くて品質のいいものを買ってなるべく趣味に使えるよう にすることで自分の好きなものを買って幸福感を得たいからです。 (男性)」

「好きなアニメのグッズには惜しみなく使う。だいたい好きなもの には使ってしまう。画材、音楽の課金など。(女性)

「本当に好きな本やマンガはブックオフじゃなくてちゃんとした書 店で買う。作家にお金が行くように。(女性)」

「服やくつは多少値段が高くても良いものを買うようにしたい。気 に入ったものはずっと着ていたいから少しでも長持ちするものを買 うようにしたい。(女性)」

「自分の好きな事なら高くても質の良い物を買う。 何かをする上で、質の高い物や評価が高いものは後でこの商品を買 ったことを後悔しないから。(男性)」

「私はキャンプのグッズにはあまりお金は惜しまないと感じる。 理由は、私自身ソロキャンパーであり、良いグッズほど良い使いご こちであり、 キャンパーとしては充実したキャンプをしたいのでグッズにはこだ わっている。(女性)」

 

といった回答が寄せられました。 そして一人一人のコメントを読んでいくと、

☛自分の好きなものにはお金を使う。

☛趣味に関することにはお金を使う。

☛心にぐっとくるものにはお金を使う。

☛集中できる、落ち着ける、 やる気が出るといったことにお金をつかう。

☛できるだけ長く使えるモノを選ぶ。

☛楽しみが増えることにお金を使う。

☛頑張った時にはお金を使う。

という現代の若者の消費傾向が浮き彫りになりました。 そしてこれらの背後にある気持ちを推測すると、心が喜ぶこと、 つまり精神的ベネフィットの高いことに対してお金を使っていると いう実態が見えてきます。

 

生まれた時から溢れんばかりのモノに囲まれて育ってきた20代前 後の若者たち。彼らが求めているのは、 モノそのものの価値ではなく、 そこから得られる心がちょっと喜ぶこと。そんなことがわかると、 若者が車を所有することにそれほど価値を見出さなくなってきてい る心の内が読み解けてきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

POP UP STORE(ポップアップストア)人気の背景

みなさんこんにちは。ライフバリューマーケティングの和田康彦です。

 

5月の連休に、友人が企画・製造・販売している「河谷シャツ」さんが、関西で初めてのPOP UP STORE(ポップアップストア)を開催しました。

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河谷シャツは、有限会社ブレインズインターナショナルの代表 河谷義人(よしと)氏が手掛けるシャツの専門ブランド。「着る人を、愉しく元気にするシャツを作りたい。」という思いのもと、河谷シャツを着た誰もが、愉しい気分になり、ワクワク感に満ち、元気が出るどこにもないシャツ。そして流行に左右されず、着る人の個性を引き出す1枚を魂を込めて作っています。

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河谷シャツ(https://www.rakuten.ne.jp/gold/kawatanishirt/)は、楽天市場での販売を主力としている、いわゆるECブランドですが、ここ数年東京や横浜でのPOP UP STOREの展開にも力を入れ売り上げ増はもちろん熱烈な河谷シャツファンを生み出す好循環につながっています。

 

今回の関西初のPOP UP STOREの展開も、関西の熱烈な河谷シャツファンに直に新作のシャツに触れてもらい良さを体験してもらいたいという目的と、たくさんのお客さまに直接会って、たくさん話したいという思いから企画されたもの。

 

幸いお天気にも恵まれ、会場となった大阪市黒崎町(大阪メトロ谷町線中崎町駅徒歩2分)のギャラリーshiroiro(http://siroirospace.blog.fc2.com/blog-category-0.html)には、 初日の5月4日には、開店と同時に多くのお客様が訪れ、一人で何枚ものシャツを買ってくださる方がいらっしゃいました。

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実は、河谷シャツでは、数年以上前から読売テレビの朝の人気番組「朝生ワイド!す・またん」(http://www.ytv.co.jp/cematin/)の人気アナウンサー森たけしさんに衣装提供を行っています。森アナウンサーは、河谷シャツを番組内で着用した日には必ずご自身のツイッター(https://twitter.com/takeshimori)で写真入りでツイートしてくれるため、番組ファンを中心にジワジワと河谷シャツの存在を知る人が増えていったという背景があります。この日も、す・またんの森アナウンサーを見て河谷シャツを知ったという人にたくさん来ていただき、テレビの影響力の大きさと衣装提供を継続していくことの大切さを改めて感じました。

 

さて、5月4日~6日まで3日間行われたPOP UP STOREですが、私は4日と6日の2日間、会場に立たせてもらいました。その中で、最も驚いたのが、初日に来て購入していただいたお客さまが最終日にも訪れ、その際、仕事で扱っているという貴重な電車の部品と、高価なお菓子をおみやげとして持ってきていただいたことです。

 

決して便利な場所とは言えない黒崎町の会場へ、わざわざおみやげまで持って来てくださる。どちらが客でどちらが店側なのか?本当にありがたく、こんな熱烈なファンを抱えている河谷シャツはなんて幸せ者なんだろうと思いました。

 

今の時代は、商品やサービスだけでは差別化が難しい時代になってきています。どんなにいい商品やサービスでも代替できる他のものがあり、似たような商品は山ほどあります。そんな中で商売をしていくには、「あなたから買いたい」「あなただから信頼できる」と言ってくれる人がどれだけいるかがとても重要です。そのためには、商品やサービスの魅力を磨くことはもちろん、それを提供している人自身の魅力を磨いて共感していただかなければなりません。

 

さて、このところ増えているPOP UP STOREですが、元々は2002年、ロンドンのチェルシーで大手スーパーがクリスマス商戦で勝ち抜くため埠頭に船を浮かべ仮店舗を開き、客の注目を集めたのが始まりと言われています。それが英国内で一躍有名となりその後はファッション業界から果ては自動車業界までもが商品アピールの場としてPOP UP STOREが一躍大ブームとなったようです。特に2008年のリーマン・ショック以降はCMにお金を掛けるより安価に注目を浴びることからよりいっそう出店が増えるようになりました。

 

POP UP STORE増加の要因には、オンライン通販(EC)の 普及で直接顧客とコミュニケーションすることの重要性が生まれてきていること、SNSと連動した話題作りに有効であること、従来の集客やプロモーション手法の手詰まり感が出てきたこと、低リスクで運用できるという点が考えられます。

 

そして、展開のメリットとしては、売上だけでなくプロモーション効果を期待できること。例えばECサイト、ブランド名、新商品の認知を高めたり、オフラインでの集客効果が見込めること。商品を実際に手に取って良さを感じてもらえる(ブランド体験の提供)ことや顧客とのコミュニケーションの場になること。話題性やニュース性をつくりやすいということがあります。また期間限定の出店なので、投下費用が算定しやすくリスクが低い。そして、期間限定や話題性からSNSで拡散される可能性が高いことやそのブランドが好きな人や商品テイストが好きな人などファンを増やせること。クリスマスやバレンタインシーズンといった限られた時期だけに販売チャネルを増やせるなど様々なメリットがあります。

 

ここ最近でも、若い女性に人気のファッションブランド「ZARA」が六本木に期間限定のオンラインストアと連動した展示・試着専門店を展開するなど、大手の中でもPOP UP STOREに注目する企業が増えてきています。ECが普及する中でも、リアル店舗でしか提供できない価値はまだまだたくさんありそうです。

くらしのテーマパーク、無印良品イオン堺北花田店にみる、新たなライフスタイル創造。

みなさんこんにちは。ライフバリューマーケティングの和田康彦です。

さて、株式会社良品計画は、2010年にオープンした「無印良品イオンモール北花田店」を移転増床し3月20日にリニューアルオープンしました。同店は、無印良品で初めてとなる“食”をテーマとした大型専門売場や、飲食業態「Café&Meel MUJI」、フードコートなどを導入し、全体で4300㎡を超える世界最大の売場となっています。4300㎡という広さは、標準店の約5倍、改装前の11倍という驚きの空間です。

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3月20日のオープン初日、私も早速、神戸から北花田まで約1時間半をかけて新しいお店を見てきました。イオンモール堺北花田は、地下鉄御堂筋線北花田駅を出てすぐのところにあるので、立地的にはとても便利なところにあります。

 

当日は平日ということもあり目立った混雑もなく、モール自体もリニューアルオープン初日とは思えないほど人影もまばらな印象でした。ただ、無印良品だけは入場制限をしており、店内に入るまでには15分ほどかかりました。とはいえ、店内に入ってみるとそれほど混雑した風でもなく、比較的ゆったりと買い物が楽しめました。

 

◆注目は、無印良品初となる「食をテーマにした大型専門売場」

店内に入るとまず天井の高さに驚かされます。広さと高さに恵まれた開放的な空間は、まるで外国の青空マルシェに来たようなワクワクした気持ちにさせてくれます。そして入ったすぐ右側には食事やお茶を楽しめる「Café&Meel MUJI」があり、その奥に、青果、鮮魚、精肉、総菜、加工品や日本酒、ワインといった食関連のコーナーが広がっています。

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無印良品では以前から、衣・食・住という生活の基本の中でも、「食」は最も基本的な営みであり、なくてはならない領域だと考えてきました。これまでにもレトルトカレーをはじめ、パスタやスープ、調味料などを次々に開発。今では主力商品のひとつとして、好業績を牽引する商材に育ってきています。また、主力店では、無印のこだわりを感じるデリやデザート、ドリンク類やパンを店内で手軽に楽しめる「Café&Meel MUJI」の併設にも力を入れて、早くから「コト消費」にも取り組んできています。

 

今回の食の大型専門売場の開設は、無印の食に対する強いこだわりと思いがカタチとなり、顧客が生産者や生産現場とのつながりや交流を通じ、食べ物と人との関係を再度見つめなおすきっかけとなることを目指しています。実は昨年の7月には東京の無印良品有楽町で野菜や果物の販売をスタート。今回の北花田店は、テストマーケティングを終えての本格展開となります。

 

◆こだわりは、「産地直送、旬、地元産、生産者と一緒に開発」。

私が行った日はオープン初日ということもあり、開店記念の特価品がたくさん店頭に並び、主婦がうれしそうに品選びをしていました。特に野菜はこのところ高騰が続いていましたので、和歌山産の大きな新キャベツが128円(税込)、愛知産のブロッコリーが108円(税込)、熊本産竹の子1本498円(税込)など、新鮮な野菜が飛ぶように売れていました。また、生産者の顔が見える野菜や有機野菜も豊富に品揃えされています。

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青果売場の横には、レトルトカレーなどの食品類、その奥には焼き立てパンのコーナー、そして足を進めると大きな鮮魚コーナーがあります。こちらでは、境港から直送されたはたはたや甲イカ、長崎産ののどぐろ、徳島産のほうぼう、こち、太刀魚、黒鯛、鳥取産のアワビ、石川産の甘エビ、大阪産の天然真鯛やハリイカなど、産地から直送された旬の魚がカウンターにずらりと並び、威勢の良い呼び声とともに対面販売されていました。地元の岸和田港や泉佐野港で水揚げされた鮮魚も充実しており、まさにつくる人と食べる人がつながる市場を実現しています。もちろんカウンターの後方には調理場があり、希望に合わせてさばいてくれるので、魚の調理が苦手な女性でも旬の美味しい魚介類が楽しめます。また、調理済みの刺身や寿司も充実。オーダーを受けてその場で作ってくれる海鮮丼のコーナーもあります。

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さらに奥に進むと、精肉コーナーになります。こちらは対面コーナーとセルフコーナーで展開。産地直送の沖縄あぐー豚や生産者と直接開発した宮崎県産黒毛和牛「宮崎ハーブプレミアム」、北海道産牛肉「ホルスタイン」など無印良品ならではの商品が品揃えされており、この日は、宮崎県産豚肉高城の里など開店特価品がよく売れていました。

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精肉コーナーの隣には、総菜コーナーが続きます。こちらではローストチキンや焼き鳥など出来立ての総菜が充実。働く女性や独り暮らしの人にはうれしい品揃えになっています。また注文に応じてコロッケやメンチカツを揚げてくれるうれしいサービスもあります。日本惣菜協会によると2016年の総菜の市場規模は9兆8399億円で前年から2.7%増加。共働き世帯や単身高齢者の増加で、拡大基調にある有望な市場となっており、無印良品にとっても今後注力していくことが予想されます。

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加工食品では、無印良品のコンセプトに基づいて開発したオリジナルの「国産素材を使っただしパック」や「乾燥野菜 国産ひじきの五目ミックス」「発酵ぬかどこ」など料理の基本となる約30アイテムの販売をスタート。また、堺で育まれたうまいもんのコーナーがあり、地元密着の姿勢も好感をもてました。

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◆売場中央にはガラス張りのキッチンとフードコート。食のライブ感を演出。

中央のガラス張りのキッチンの横には48席分のフードコートが用意され、手作りのヨーグルトやカレー、海鮮丼をその場で食べることもできます。特に力を入れているのがヨーグルト。関西圏で採れる牛乳にこだわり、店内で製造しているため、出来立てを楽しめます。またキッチンをガラス張りにすることで、作る人と顧客が調理している時間を共有することができ、ワクワクしながら出来上がりを待つことができます。メニューも「ジビエカレー」や「トムヤンクンのフォー」「豆乳ヨーグルト」など無印流のこだわりが光っています。

 

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◆顧客との対話の場を目指す空間、「Open MUJI

無印良品が考えていることを提案し、顧客や地元で活動するクリエイター、生産者、シェフ、編集者など様々な人と考え、会話し、活動する空間が「Open MUJI」です。私が行った日には、写真家 公文健太郎氏の写真展「耕す人」が開催中で、同時に公文氏とノンフィクションライター菅聖子さんとのトークイベントが開かれていました。会場には多くの人が集まっていて、新たなコミュニティの誕生を予感しました。今後は、「食」をテーマにしたイベントを各種予定しており、無印の「食」に対する思い入れが改めて伝わってきます。また、食に関する本や雑誌も多数品揃えされており、まさに「食のテーマパーク」といっても過言ではありません。

 

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◆くらしの相談に応えるプラットフォーム「MUJISUPPORT」をスタート

無印良品堺北花田では、食の充実とともに、くらしに関する様々な困りごとに応えるためのサポートサービスにも力を入れています。新たに新設された「MUJISUPPORT」では、専用のカウンターを設置。「取付施行サービス」「無印良品のパーツ」「オーダー家具の相談」「サイズオーダーサービス」「くらしの収納相談」「部屋づくり相談」「家具転倒防止サービス」「無料採寸サービス」7つのコンテンツを用意。例えば、空いたスペースにちょうど良く収まる棚がほしい時や割れてしまったポットの蓋だけを新しくしたい時など、大きなことから小さなことまで、顧客の「できたらいいな」や「こうしたい」を専門のアドバイザーがサポートしています。私たちが日ごろ抱えている生活課題に対して耳を傾け、顧客と一緒になって丁寧に解決していこうという姿勢が読み取れます。そして生活していくうえでの様々な「不」の情報を吸い上げることで、新たな商品やサービスの開発につなげていくのだと思います。

 

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◆開放的な空間を生かした、魅せるビジュアルプレゼンテーション

今回の無印良品イオンモール堺北花田店のリニューアルオープンに関しては、「食のテーマパーク」という点に注目が集まっていますが、インテリアや雑貨類といった主力商品売り場にも様々な新しい工夫が見られました。

特に目を引くのが、高い天井を生かしたディスプレイの数々です。無印良品の象徴的な商品使ったアートな演出には無印良品の美意識の高さを改めて感じました。その他の売り場でも、広いスペースを上手に生かした大量陳列が無印の高い商品力をアピールしています。

 

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◆ライフスタイル提案型ブランドとして日々進化する無印良品

このところネット通販の台頭に押されて、国内の店舗販売は苦境に立たされています。米国においても「トイザらス」が大量閉店に追い込まれるなど、小売業の大転換が起こりつつあります。そんな中、無印良品を展開する良品計画は、2018年2月期の売上高にあたる営業収益は14%増の3800億円程度、連結営業利益は、前の期比15%増の440億円程度と報じられており、5期連続で過去最高となる模様です。国内では一部を値下げした効果や厳冬もあって客足が伸び、衣料品販売が好調。中国など海外事業の収益も改善しています。国内既存店への客数は6%ほど伸びたとみられており、特に17年12月と18年1月は既存店で衣料品を購入した客数が前年同月と比べそれぞれ2割以上増加。寒い日が続き、ダウンジャケットやセーターなど秋冬商品の販売が好調だったようです。また定番商品の化粧品やレトルトカレー、「不揃いチョコがけいちご」は安定した人気を得ています。

 

このように、多くの小売業態が苦戦を強いられている中で、良品計画が好調を持続している要因は一体何なのか。私は、今回リニューアルオープンした無印良品イオンモール北花田にすべての答えを見ることができると思います。「生活の基本となる本当に必要なものを、本当に必要なカタチでつくる」という、無印良品の理念を忠実に追及する中で、お客様の「困った」を減らす、お客様の「うれしいを増やす」という生活価値を丁寧に提案していく。そして生活者が喜ぶことをひとつひとつ地道に取り組んで実現していく。そんな無印良品の理念追求型の姿勢に学べる点は多くあります。